MinIONを購入してシークエンシング
ナノポアの原理の新しいシークエンサー、MinION。
購入して使うのに際して、調べてもよくわからなかった情報を紹介します。
調べるとわかることは、割愛しますので他の情報を見てください。
上の金属がMinion本体でUSBでPCに接続して使います。
下がフローセルで消耗品になりますが、洗って何度も使えます。
フローセルをセットしたところです。
ピペットマンと比較すると大きさがわかると思います。
ここで調べてわかりませんでしたが、知っていると有用な情報をお知らせします。
1: フローセルは使い捨てではなく、何度でも使えます。
洗うためにはWashing kitを購入する必要があります。
2: フローセルは2種類あり(2018年2月現在)、片側から読み、DNAが長ければ長いほど読めるR9.4(1Dと言われる)と、両側から読み、そのために長さの制限がたぶんあるR9.5(2D)があります。
情報が間違っている可能性もありますので、慎重に調べることをお勧めします。
8: プロトコールを探しても見つかりませんが、Nanoporeの会員になるとNanopore communityで見ることができます。
3: フローセルのR9.4(1D)で読むと、エラー率は10%程度、R9.5(2D)だとオーバーラップしたところで0.1x0.1=0.01のエラー率、つまり1%程度になります。
4: フローセルのR9.4(1D)とR9.5(2D)でそれぞれライブラリ作成キットが異なります。
5: バーコーディングキットを購入すると、複数のライブラリを混ぜて読めます。
6: 1000ドルキットは、R9.4のフローセル2つとライブラリ作成キット、シークエンスをするために試薬キットが含まれます(2018年2月現在)。かなりお得感があります。
7: ライブラリ作成には1000ドルキットの他に、AMpureXP(磁気スタンドも), NEB Ultra II end repair dT tailing kit, NEB Blunting TA kitが必要です。NGSライブラリを作ることができる環境なら、上記のNEBのキット2つを買い足せば大丈夫です。
9: キットの値段を探しても見つかりませんが、Nanoporeの会員になるとサイトで見ることができます。
10: シークエンスはオンラインで行う必要があります。読んだデータを解析して返してくれます。
11: シークエンス用のPCはマシンパワーが必要です。私はMacPro late2013を用いました。
12: シークエンスにはMinknowという専用ソフトをインストールする必要があります。完全にサポートされているMac OXは限られていますが、最新のものでも問題ないらしいです(未確認)。
13: フローセルが届いたら、4日か7日以内に一回チェックをする必要があります。
フローセルを本体にのせて、PCにつないでMinknowのプロトコール通りに行えば1時間もかからずに終わります。
14: ゲノムDNAは高分子が多いほどよいです。短いものが優先的に読まれてしまうので、少しでも短いDNAがあると短い配列が多く読まれます。
15: ゲノムDNAの他、完全長cDNAなど分子をそのまま読みたい場合に応用できます。
16: 費用ですが、1000ドルキットが15万円程度、あとの追加の試薬で20万円程度でシークエンスができるようになりました。フローセルがどれくらい持つかにもよりますが、これで何度もシークエンスができます。
他にも思い出しましたら、追記していきたいと思います。
実際のシークエンス
17: ゲノムDNAは1 µg必要とありますが、PCRなしの方法で500 ngあればライブラリを作成できると思います(腕がある場合)。少ない量でもPCRで増幅できるので作成できるようです。
ライブラリ作成の流れを下にのせます。
シークエンスを以下のような画面で見ることができます。
18: Runの時間は48時間。
初めてのシークエンスの結果は
総配列数: 100万配列
総塩基数: 2.3 Gb
最長配列: 110 kb
ただし、古いDNAを使ったために短い配列が多かったです。
これからMinIONの導入を考えている方のお役に立てれば幸いです。
19: ゲノムサイズが小さくても、エラー除去のためにIlluminaシークエンスとの併用が必須です。