スラウェシ島での野外調査
ここでは、スラウェシ島での調査の様子を簡単に紹介します。
インドネシア、スラウェシ島には7種のマカク属の固有種が生息しています。これらの種は遺伝的に近縁なため、霊長類の種分化の研究をするための最適な研究対象となります。2013年10月にこれらのうちの2種、Macaca mauraとM. nigraの調査に行きました。
スラウェシ島の固有のマカクの調査
調査の行程
成田空港からシンガポール経由でジャカルタ(ジャワ島)に到着。ジャカルタから車で2時間程度のBogorに移動。BogorでOne Day Lectureを行い、再びジャカルタへ。ジャカルタから飛行機で2時間、スラウェシ島のMakassarへ移動し調査。Makassarから飛行機で1時間半のManadoへ移動。Manadoからシンガポール経由で帰国。
ジャカルタ、Bogor
ジャカルタから車で2時間程度のBogorに移動。BogorではBogor Agricultural Universityで種分化についてOne Day Lectureを行いました。
ジャカルタ、Bogor
ジャカルタから車で2時間程度のBogorに移動。BogorではBogor Agricultural Universityで種分化についてOne Day Lectureを行いました。
広い学内。熱帯を感じます。
有名なジャコウネコが食べた後のコーヒー豆。
香りがとてもよい、すっきりとした味の美味しいコーヒーでした。
朝食のおかゆ。インディカ米のおかゆに辛いソースを数種類かけたもの。とても美味しい。
スラウェシ島、Makassar
ジャカルタから飛行機で2時間程度のMakassarに移動。空港から車で1時間程度の国立公園で調査をしました。
交通渋滞がすごい。とにかく無秩序。写真は踏切で列車待ちのところ。バイクは遮断機の内側、電車すれすれのところで列車待ち。
念願のスラウェシ島に到着。Makassarの空港。だだっぴろい。
Makassarの宿の外観。入り口の窓ガラスが割れていて、風通しがよい。
宿の洗面台とシャワーを兼ねる蛇口。最初はシャワーなしを覚悟しましたが、水はぬるく2日目には快適に思えてきました。
到着した次の日に、国立公園の入り口で朝食をとっていると、近くの巨木の上にM. mauraがいました。着生植物の中の昆虫を食べているようでした。
国立公園の入り口の店で食事を用意してもらいました。
調査地に行くと、群がやってきました。ここでサンプル収集。森の中は乾燥していて、聞いてみると6月から雨が降ってないとか。
毛色、皮膚の色、喉の毛の色などなど、様々な特徴があります。大半の時間を地上で過ごしていました。
赤ちゃんもいました。顔の色は肌色。成長すると浅黒くなるようです。
注目されています。あまり人を怖がりませんでした。
スラウェシ島、Manado
Makassarから飛行機で1時間半程度でManadoに移動。空港から車で2時間程度の保護区で調査をしました。
群の全景
ナナフシを発見
マカクが食べている木の実を試食。とてもすっぱい。
こちらはたぶんイチジク。苦く渋い。
以前、調査に参加していた方の家で一休み。
発酵して、できたてのパームワインをごちそうになりました。味は酸味と甘さとヤシの後味がしてさわやかです。
パームワインはこの中から出てきました。ヤシの樹液を古い竹筒に集め(昆虫もたくさん入る)、24時間置くと発酵してパームワインができるそうです。昆虫をざるで濾してから飲みます。
国立公園の遠景。石灰岩の山が有名だそうです。
保護区入り口近くの宿。かなり湿度が高く暑かったです。マラリアにならないように蚊に気をつけました。夜も窓を締め切って扇風機でしのぎます。電力が不安定なために扇風機も時折止まりました。海の近くの漁村でした。
朝、海岸を歩くと野豚や野良犬が砂浜でエサを物色していました。火山灰の砂浜で歩きづらいです。
いざ、調査地へ。写真でもわかるように水が多く湿度が高いです。蚊に刺されないように長袖を着ているのでとても暑かったです。
この国立公園は「蝶の王国」と呼ばれるだけあって、とても蝶が多くきれいでした。
国立公園の中の滝
保護区入り口
到着した日の夕方に見たのはメガネザル。
森の中にも野ぶたはいました。人を見ると逃げて行きます。
キクラゲ?
M. nigra。木の上でフルーツを食べています。樹上性が強いようです。
地上に降りてきた個体。顔も毛色も黒いです。特徴的なヘアスタイル。
フルーツを食べる個体
食べ残したフルーツは美味しそうでしたが、味見はやめておきました。
板根を持つ巨木
シロアリの巣。森の中に落ちている木を
ひっくり返すと必ずシロアリがいました。
マカクの食べたマンゴの種。美味しそうなフルーツを食べています。
アップで。顔の皮膚はかなり黒いです。
ヘアスタイルは毛の向きと長さでできていました。
寝癖?のついた個体
喧嘩の後の仲直り
若い個体
赤ちゃんは顔が青白い。成長に伴って黒くなるそうです。
地上を歩く群の一部。全部で60頭くらい。
森を抜けるときれいな海
海岸にいたオカヤドカリ
森の中に穴を掘って棲むオカガニ
マングローブの花
7 cmくらいある大きなゾウムシ
宿での夕食の1コマ。ふせたお皿にアリが行列を作ってたかってました。おかずには虫が落ちてきますし、気にしてたらきりがないです。
調査最終日の夕方、雨上がりに虹が出ていました。
調査を終え、Manadoからシンガポールへ。多くの方々のおかげで調査を行うことができました。お礼申し上げます。多少疲れましたが、実り多い調査を行うことができました。