スラウェシ島での野外調査
ここでは、2019年のスラウェシ島での調査の様子を簡単に紹介します。
インドネシア、スラウェシ島には7種のマカク属の固有種が生息しています。これらの種は遺伝的に近縁なため、霊長類の種分化の研究をするための最適な研究対象となります。昨年までに、島の北部に生息する3種、Macaca hecki, M. nigrescens, M. nigraと中央に生息するM. tonkeanaの調査を行ってきました。今年は島の南部のM. maurus の調査を行いました。
スラウェシ島の固有のマカクの調査
MakassarとBantimurung
M. maurusの分布域
初めてスラウェシ島に来た時以来、久しぶりにMakassarとBantimurungに来ました。
この地域の伝統的な建物。高床式です。
建物にウシの頭がついています。
Bantimurungの保護区の入り口のチョウが見えて来ました。前より新しい?
近くで見るとチョウは新しくなっていることがよくわかりました。なぜなら古いのは横の空き地に捨てられていたから。巨大なサルもお腹に穴が空いています。
Bantimurungは大地が石灰石でできています。そのため、切り立った断崖がいたるところにあります。
少し、山の方面に移動すると道端でM. maurusがドライバーが与えるエサを期待して待っています。
こちらもエサ待ち
前回もお邪魔した、元レンジャーの家に立ち寄り、ジャワティーをいただきました。現在は息子さんがレンジャーとして保護区で働いています。
前回と同様に、パームワインもいただきました。今回は甘くなく、ちょっと苦味あり。発酵の時間によって味が変わるそうです。
少し山に入ると、群れがいました。
M. maurusは、とくに歳をとると毛が白くなるように感じます。
森の中でゴロゴロするオス。
根っこ?幹?から花が咲いて実がなる植物。
M. maurusが食べていました。
それほど歳をとっていない個体ですが、あご髭は真っ白です。
スラウェシ島南部の内陸部をパレパレに向けて北上しました。
スラウェシ島南部を北上
ちょっと元気のない個体。いつも舌を出していました。
夕飯時に食堂に飛び込んできたクワガタ。
スラウェシ島南部ではカカオの栽培が盛んなようで、このようにカカオの実が干してありました。
M. maurusは日が当たると体毛が白く見えます。
インドネシアでの最終日は、ボゴールに移動してシンポジウムで発表。
インドネシアでは、お偉い様用席が最前列にあります。私は丁寧にお断りして、普通の席に座りました。
スラウェシ島南部の精悍な犬。
自然保護地区のすぐ外ではカカオなどが栽培されていました。
サルたちにとっては、そんな境界はわかるはずもなく、農園にも行っているようです。農園の人にとって、サルは害獣。写真のような罠を使って駆除しているとの話でした。M. maurusは保護されているので、罠は違法です。
コウモリ公園
街灯などにコウモリマークのついた公園に立ち寄りました。
背景の木をよく見ると。
オオコウモリがぎっしり枝にとまっています。
公園に着いたのが夕方だったので、オオコウモリの活動が活発になるのが見れました。昼は安全な公園でお休みしているようです。30年前も同じようにコウモリのいる公園だったそうです。
森にフルーツを食べに出かけて行きます。
生き物いろいろ
車を停めた際に、遠くにいたM. maurusの群れ。
上のM. maurusの群れを観察していた際に森から走り出てきた動物。
よく見たら、子牛でした。
スラウェシ島の哺乳類、アノア。
恐竜を連想させるヒクイドリ。
大きなアリ。手を出しても興味なさそうで大人しい。
サイチョウ。スラウェシ島には多いです。
バリ島の鳥、バリマイナー。
今回初めて見た、M. ochreata. 手も足も白いです。
水をかけて洗ってもらってました。
洗われて、すっかり不機嫌。
スラウェシ島の三毛猫
スラウェシ島での日常
スラウェシ島では、ほぼ毎日魚か鶏肉を食べていました。
選択肢は4つで、最初の二択は魚(現地語でイカン)か鳥肉(アヤム)、次は揚げる(ゴレン)か焼く(バカール)か。
これで何を食べるかが決まります。
アヤム ゴレン。大豆製品の厚揚げやテンペのフライも付きます。
アヤム バカール。赤いソースはサンバル。
イカン ゴレン。煮干しとトマト、唐辛子テンペなどを和えた付け合わせ付き。
焼きバナナ。想像以上に美味しい。
店で買って、自分で切って食べればフルーツも不安なく食べることができます。
マンゴー。激安です。甘すぎるので、1人で2個は多かったです。
名前を忘れたフルーツ。中身は半透明で爽やか。
スネークフルーツ。皮が蛇皮に似ています。
マンゴスチン
すごく甘い果物。
アリが多きほど甘いらしく、パックの中にもアリがたくさんいました。
スラウェシ島南部は、乾燥していて朝晩は涼しく、快適に調査ができました。今回も、多くの方々のご協力により安全に楽しく調査を行うことができました。この場を借りてお礼申しあげます。
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